東京地方裁判所 昭和44年(ワ)7485号 判決
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〔判決理由〕参加人は右野上紀子にも固有の損害賠償請求権があるから、原告らの賠償請求額の算定上これを控除すべきものと主張するので考察するのに、右<証拠>および証人野上紀子の証言とこれにより成立の認められる<証拠>によると、同女は、事故の約二月前に亡晃一と結婚して同居を始めたが、婚姻届提出以前に同人が本件事故のため死亡したこと、その後、原告らと養子縁組を結んで原告らの戸籍に入り一時同居したが、現在は原告らと別居し、自ら職をえて自活していること、同人は未だ年若く再婚の可能性は十分にあること、亡晃一の事故死後夫の前記退職金三二万〇四〇〇円を受領したほか、原告らを通じて自賠責保険金のうち二〇〇万円を受領したこと、その後被告に対する損害賠償請求権を別個に行使する意思のないことを表明し、またその時効期間も既に徒過していること、原告らにおいて本訴による支払いが受けられた場合には原告らから任意にその一部の分与を受ける見込みもあることがいずれも認められる。
かかる事情のある本件においては、同人の被告に対する扶養請求権喪失等による損害賠償請求権は、同人と原告らとの内部関係において任意に賠償金の分配がなされることは別にして、少なくとも被告に対する関係においては、全て填補により消滅したものと解するのが相当であり、従つて重ねて同人から被告に対し賠償金の請求をする余地もないというべきである。
従つて原告の右相続分から同人の扶養請求権喪失分を控除する必要はない。
(坂井芳雄 浜崎恭生 鷺岡康雄)